特定社会保険労務士 村岡長治ブログ

年金を夫婦で2分割、ペテンにかけられた気がしませんか?

埼玉の社労士です。正直、年金問題はあんまり詳しくないのですが、私の意見をちょっと述べてみます。時にはブログも書かなくては…。

専業主婦らの第3号被保険者制度の見直し案で、厚生労働省は、専業主婦が受け取る年金について、妻は保険料を支払わないままで、老後は会社員の夫と半分ずつ分けあって受け取る形に見直す方向で検討を始めました。来年の通常国会に法案を提出する方針だといいます。

現在の年金制度では、会社員は男女を問わず年金の保険料を本人と企業が折半して支払い、老後は「基礎年金」に「厚生年金」を合わせた額を受け取ることになります。
一方、会社員や公務員の夫を持つ専業主婦で年収が130万円未満、夫の年収の半分未満の場合は、年金保険料を支払わずに老後は「基礎年金」を受け取ることができる、これを第3号被保険者制度といいます。

厚労省が今回発表した改正案では、夫と専業主婦が「基礎年金」分を受け取り、「厚生年金」分を夫と妻で半分ずつ分けあって受け取るとしています。
現在の3号制度については、共働き世帯や独身者から「保険料を支払わない主婦を優遇している」という批判があり、厚労省は批判解消のため、「夫が妻と2人分の保険料を支払ったとみなし、受け取る年金も2人分とみなす」と改正の意図を説明しているということです。
詳しいことはまだ決まっていないらしいのですが、疑問点があんまり多すぎるのではないでしょうか。真っ先に気になったことですが、例えば…

①結婚以降を分割すると考えていいのか
女性の場合は結婚まで会社員や公務員だった人もいます。ですから、結婚以降で専業主婦になった期間を2分割する、と考えていいわけですね。夫の年金すべてを2分割では、結婚までの年金を加えると妻のほうの受給額が多くなります。あるいは夫と妻の年金を合算して、それを半分ずつにするという手もありますが…。

②基礎年金をどう扱うか考えているのでしょうか
皆年金ですから本来、基礎年金は妻も満額もらえるはずですが、例えば一方が大幅に少なかったらどうするのでしょう。夫婦合わせて2分割するのか、それとも各自の基礎年金の上に厚生年金を分割して加算するのか。

③結婚までに国民年金を払ってこなかった妻はどうなるか
国民皆年金といいながら、パートや家事手伝いで勤めていない人は、保険料を納付しなければならないにもかかわらず、納付していない人が大勢いるのです。平成20年・21年を見ても未納者を合わせると4割以上です。
未納の女性が50歳で55歳の男性会社員と結婚したとします。男性が65歳定年まで勤めても、その間、妻の納付済期間は10年しかありません。受給資格を得るまで納付済み期間(又はカラ期間)が15年不足します。このとき女性は60歳、国民年金に加入できるのは70歳までですから、最終的に基礎年金はもらえないことになりますがどうなるのでしょうか。

この期間を厚労省はどう考えるのでしょう。25年なくても受給できるようにするのか。また新聞報道では、基礎年金はフルペンションを得られるような図を書いて説明しているものもありますが、もしそうなら、納付してきた人と、しなかった人との不公平感をどう解消するのでしょう。

④夫が受給するとき妻は受給できない、どうします
仮にです、定年まで勤めて夫が受けるはずだった厚生年金と基礎年金を併せて205,000円、妻の基礎年金が66,000円。併せて271,000とします。(疑問点を単純化するために、年金を全額受給できる年齢を65歳と考え、加給年金等はここでは考えに入れません)
65歳になって夫は205,000円を受給できると思っていたら、妻は5年間受給できません。夫婦で受給できる額は妻の受給分2分の1を差し引いた額(最少では135,500円)になると思われますが、ペテンにかけられたような気がしませんか。

⑤妻が先に死んだらどうなる?
分かりやすいように、男性が会社に勤めると同時に結婚したとします。妻は専業主婦です。定年まで勤めて夫は基礎年金と厚生年金で205,000円とします。
まず、妻の基礎年金は別に納付するのか。「夫婦で納付した」と考えるわけですから、基礎年金保険料を納付しないのでしょうが、それでは現在の3号と同じ考えになり、不公平感は解消されないでしょう。この点は如何でしょう。

「夫が妻と2人分の保険料を支払ったとみなし、…」という考えは無理でしょう。それなら独身者と妻帯者(もちろん女性が被保険者の場合も)では、保険料を変えなければ理屈にあいません。

年金を受け取るときに分割しても、夫婦合併わせると受給額は同じだと厚労省はいいます。この場合、271,000円ですね。
しかしもし妻が先に死んだらどうなるか。これまでなら夫は205,000円を受け取れていました。ところが夫婦で分割したら、夫は生涯135,500円しか受け取れないことになりませんか。

男性が同じ条件でも、その人が生涯独身だった場合の年金支給額は205,000円です。単純にこれだけを考えても、何とも不公平な制度だとは思いませんか。

私が例示した金額は「そうならない」といわれる方もおられそうですが、加給年金、振替加算等々面倒なことは一切省いた骨組みだけのつもりです。また、とりあえず思いついたことを書いてみましたので、ほかにも問題点は多いと思われます。その点を考慮された上でご覧ください。


自民党政権のときでしたか。「100年安心年金」と銘打って年金法を改定しましたね。100年どころか、10年も持たずに再度いじくりまわされ、また今度ですか。
それにつけても小宮山洋子サン、あなたが厚労相で指揮を執ることができるのですか。あなたは専業主婦というあり方を否定していますね。親の遺産の上に乗っかって、閣僚資産番付上位にいる人には分からないでしょう。

専業主婦をやりたくなくても、やらざるを得ない家庭もあるのです。
一方、普通に勤務したくても、何の資格もない家庭の主婦には、仕事といったら多くはパートしかないのです。会社も厚生年金保険料の半額を負担したくない。この場合は現在では3号被保険者にならざるを得ない。

こんなこと、ジェンダーフリーの権化のような小宮山サンには通じないでしょうか。この言葉は男女共同参画局から地方公共団体に「この用語を使用しないことが適切」との事務連絡が出ているそうですね。
この男女共同参画局とは内閣府に所属して、男女の機会均等や共同参画及び女性優遇を推進することを任務とするそうです。「女性優遇を推進する」というのは、男性に対する「差別」ではないのですか。小宮山サン、感想を聞いてみたいものですね!

あんまり脱線してもいけないと思います。厚生年金を夫婦で2分割する今回の案、私はペテンにかけられているような気がするのですが、皆さんいかがお考えでしょうか。


2011.10.23
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