特定社会保険労務士 村岡長治ブログ

全喪届を提出すると、適用事業所から除外されます

「社員の社会保険料 正直に払えない」
「企業 偽装で節減」
「『全員退職』『倒産』抜け道多く」

9月20日付の毎日新聞朝刊1面に、こんな見出しが躍っていました。以下、記事の初めの数行です。

「『まじめに保険料を払っていたら、会社が持たないよ』。健康食品会社の女性社長は、いら立ちを抑え、語り始めた。保険料を節減するため手を染めた『偽装工作』。指南したのは、決算を相談していた会計士だった」

さらに東京都内の社会保険労務士の話として、
「社会保険料を払わなくて済む抜け道はいくらでもある」
茨城県で運送業を営む男性の話として、社会保険料を逃れる手口を、
「社会保険事務所の職員に耳打ちされた」と。

しかしこの記事を書いた記者さんは、社会保険の仕組みをあんまりよくご存じないらしい。

「従業員のうち30人を『全喪』扱いにしている北海道南部の建築業の男性…」
「全喪扱い以外の従業員40人に…」

記事中の、こういうことはあり得ません。
全喪届を所轄の年金事務所(前・社会保険事務所)に届け出れば、その事業所自体が適用事業所から除外されます。つまり、事業所全体が健康保険・厚生年金保険の適用を受けられなくなるわけです。
「従業員のうち30人を『全喪』扱い」とか、「全喪扱い以外の従業員40人」などということは、そもそもできない相談なのです。


しかもこの全喪届の提出には、現在は次の添付書類が必要です。(これは埼玉県の年金事務所で徹底している事項で、全国でも同様だと思われます)

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① 解散登記の記載がある法人登記簿謄本の写し(地方法務局発行のもの)
② 雇用保険適用事業所廃止届(事業主控)の写し(公共職業安定所発行のもの)
③ 合併、解散、休業等異動事項の記載がある法人税・消費税異動届の写し又は給与支払事務所等の廃止届の写し(所轄税務署押印のもの)
④ 休業等の確認ができる情報誌、新聞等の写し
⑤ 事業廃止等を議決した取締役会議事録の写し
⑥ その他適用事業所に該当しなくなったことを確認できる書類

添付書類が上記①又は②以外である場合は、当該事業所の廃業や休業の事実を確認するため、電話、文書による照会、商工会並びに業界団体への照会等を実施します。
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さらに全喪の原因が休業である場合には、再開予定日等を記載するよう社会保険庁通達により求められることとなりました。
事業主の都合や意向のみで全喪(脱退)処理を行うことは許されません。しかし、偽装脱退の抜け道が残っていてはいけないということで、社会保険庁は実態を踏まえ、受理した脱退届約4万件を調べ直しているところです。

たしかに東京の某社会保険事務所(当時の呼称)などのように、脱退をそそのかすかのような言動があったり、全喪届のひな形を渡したところがあったのは耳にしたことがあります。面倒な添付書類など不要、という時代もありました。しかし今は厳しくなっていますので、偽装で全喪届を提出することは不可能と言えるでしょう。

社員でありながら、退職したとして資格喪失届を提出する。
これは一見可能なようですが、普通に考えると給料台帳に氏名が残りますよね。調査の時に明らかになりますと、遡って保険料を納付させられますよ。

いずれにしても、事業所は偽装の方法を必死に考えるより、合法的に納付して、しかも会社が成り立つ方法をしっかり工夫するべきではないでしょうか。
またメディアも、できるかぎり正確な報道をお願いします。

そのうえで、保険料の高騰をどう抑えるか議論することは大いに結構だと思います。
2010.09.21
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